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ノンフィクション作家・保阪正康さん寄稿/進取・勇気・克己 取り戻す時

2017年6月1日(木)


2018年は蝦夷地が北海道と名称が改められてから、150年目にあたる。いわば「北海道150年」である。この間、北海道は内地とはまったく異なる形で近代史をつくりあげてきた。もとより歴史書の年譜に刻まれている史実は東京中心であり、政府の国策が軸になっている。しかし北海道の150年は、まさに人間味あふれた「人工的空間」としての歴史であった。

 もともと住んでいたアイヌ民族の地に、北方防備と開拓の国策に沿って日本各地から様々な人びとが移り住んだ。明治2年の開拓使(のちの北海道庁)が先導する形での「官」に依存する人たちだけではなく、やがて幕末維新時に官軍に抗した人、明治初期の自由民権運動の夢に敗れた人、宗教上の信念に基づく人、新生活を目指して理想郷をつくろうと試みた人、新規事業に情熱を傾けた人など「民」の立場の人たち、そこには300年近い幕藩体制からの脱出や解放の姿が垣間見える。とはいえ現実には、アイヌ民族との軋轢(あつれき)、厳寒との闘い、疾病への恐怖、開墾の忍耐と苛酷な日々があった。

 この150年、北海道の地でどれほどの人びとが犠牲になったか、その先達のことに思いを馳せるのは北海道人の義務である。それを語り継ぐのは私たち北海道に縁を持つ者の役割である。150年をふり返って、これからの50年、100年を実りある空間として充実させていくのは、今、私たちに求められている責務でもある。

 本来この地に宿っている進取、勇気、克己の精神を改めて私たちは取り戻すべきである。



 保阪正康さん略歴

 ほさか・まさやす 1939年、札幌・山鼻生まれ。高校の数学教師だった父の任地の江別、八雲などで育つ。札幌市立柏中学校から札幌東高校を経て、63年に同志社大文学部を卒業。出版社勤務を経て著述活動を始める。日本の近現代史に関する研究・執筆をライフワークとしており、北海道の視点から近代日本を検証する「北海道学」を提唱している。朝日新聞書評委員。著書に「昭和史のかたち」「昭和陸軍の研究(上)(下)」「風来記(1)(2)」など多数。

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